トップに少しずつ書いている文章です。
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また、会う日まで [2006.04.24-2006.09.20]

ばいばいまたねと 手を振って
ぎりぎり電車に飛び乗ると
君の姿は窓の向こう
薄くて遠い 夕闇に

流れる景色を目で追いながら
次会う約束思い出し
幸福だった二人の時間
まぶたを閉じて待ち焦がれ

一人で進む いつもの帰り道
帰る君とは背中合わせに
一番星を探しながら 歩いてゆこう
 

また今度ねと 別れを告げて
いつもの通りに歩き出す
空はいつも はるか向こう
届かない場所その先に

小さな星に願いをかけて
切ない気持ちを預けたら
もう一度会う その日まで
歩いてゆこう 少しずつ

一人で歩く帰り道
預けた気持ちはそれでも溢れ
泣き出しそうな この感情は
きっとウソじゃない
 

一人歩く 夜空の道を
背中合わせの君を想い
落ちてく雫は 風に流し
明日の空へ
 

君の元へ 歩いてゆこう
次に会える その日まで

世界のお話し [2006.04.10-2006.04.23]

「君に一つ、教えよう。
世界はカードで出来ている。
此処に並ぶ幾枚の、理示すこのカード。
これを君に預けよう。
世界が変わる、その日まで」

誰が言ったか知らないが
それは割と
真実に近い。

赤い空とぼくと君 [ログ無し-2006.04.09]

古びたノート広げ 見つめるものは
喧嘩別れのままで 残る約束
色褪せたそれはまだ 僕のどこかで
空になったグラスの 氷のように
 

僕の中での君は いつも笑顔で
僕が名前呼ぶ度 はにかんでいた
喧嘩の理由(わけ)はすでに 見えないけれど
でも こんなに壊すと 思わずにいた

帰り道の川辺 他愛ない話
二人 笑いあって
手をつないだ道 その日の夕暮れ
それはただ 赤く

君の中では 赤い夏の日
交わした約束(もの)は その時は小さく
それは一言 「一緒に居て」と
もう叶わない 永久(とわ)の言の葉
 

微かに残る景色 色褪せた赤
それは君が残した 音のない声
二度と果たせないけど 今でも僕は
ただ君のためだけに 果たしたくなる

それはただ青く 今もただ青く
君を 彩るもの
君はその空が 蒼く光っても
裏の赤(そら)を見てた

あの夏の日は 記憶の底に
それはいつでも はかなく輝き
君の笑顔を 刻み込むまま
あの夕焼けは この空の下

薄墨の櫻は幽雅に紅く [2005.11.03-ログ無し]

遥か遠い思い出の 空に霞む薄墨は

目を閉じて聞きしその香り
儚い程鮮やかに
極彩の春を溶かし込み
雪解けを告げて消ゆる

何気なくとる仕草 それは密か
我が衣手に積もりし雪は消え去り

咲きゆく櫻が その代わりを埋めてゆく
華やかに舞い 儚い夢のように
色づく桜は 私の心の証
この想い今 花吹雪に躍らせ

密やかなる 花盛り
それは束の間 ひと時の夢路
風に乗った刹那の調べに
「頼みそめてき」とただ一つ口ずさんで


春風を奪うように
一人幽雅に咲き誇る

鮮やかに映える薄紅
それは一時(ひととき)の宴
華やかに 散った その音は
花よりほか 知るもなし

花霞の立つを見捨ててゆく
涙に濡れし 袖をそっと隠すように

崩れる櫻は 実に(げに)鮮やかな音色
薄れ逝く色彩(いろ) 手を差し伸べ確かむ。
冷たき桜は 儚き白に染まりて
私の心 ちぢに乱して溶け逝く

散り急く(せく)薄紅(あか)を抱き寄せ
この世と私の思いつなぎ止む
淡い花弁 氷の襲で着飾り
やがて解ける 儚い薄紅よ

くだけしおもい かきとむは
あかく あわい すみえまき

そらへのねがい。 [2005.10.16-11.2]

晴れ渡る空は 何処までも青く
翼を広げて飛んでいきたい。

でも。
私の背には翼なんてものはなく。
あるのはしっかりと地面に付いた足だけで。

あぁ。
いつかこの地を軽く蹴って
あの大空を飛べたなら。

私の背中にツバサなんてものはなく。
あるのは私を地面につなぐ 足だけで。

晴れ渡る空は 何処までも青く
私は果てない幻想の中で
いつか
自由に
大空を舞うことにしよう

そう、どこまでも。いつまでも。

音という感情 [2005.09.05-10.15]

その日聴いたあの音は
私の中で大きく おおきく こだまする。
それは小さな一つの鼓動
肩が触れた それだけのこと

たった一つのその音は
私の水辺を大きく揺らし
平穏だった心の泉に
小さく静かな波が立つ

風が吹くより小さな波は
留まる所を知らないで
いつまでも どこまでも
私の心を揺らし続ける

心を乱すその波は
いつまで経っても響くことをやめないで
彼を見かけるそのたびに
小さな波が 静かに響く

それはとても苦しくて
水はとても 甘くって

あの日聴いた 小さな鼓動
それは今でも 止むなんて事知らないで
彼を見つけるそのたびに
小さく 確かに 響く音

響くもの [2005.07.27-09.04]

今宵は音が良く響く
月の綺麗なこの夜は
些細な音も 遠く 深く
小さな鼓動も 確かに 刻む

恋の音は良く響く
月の綺麗なこの夜は
些細な想いも 大きく 広く
小さな呼吸に 確かに 刻む

今宵は恋が育つ夜
こんな綺麗な月の夜に
些細な会話は 二人を 結び
小さく触れた その手に 刻む

今宵は音が良く響く
それは微かで確実な
淡くて甘い 恋の音

甘い夢の夜 [2005.07.05-07.26]

月に憑かれたあの夜に
私は空飛ぶ夢を見た。

甘い星を視界に流し
美味しい月に少し腰掛け
見下ろす街はお菓子のようで。
私は思わず身を乗り出して
美味しい月から飛び降りた。

自由落下はどんどん早く
涼しい風は 私の長い髪を流し
どんどん近づくお菓子の街は
両手を広げて 私のことを待っている

月に憑かれたあの夜に
私の見ていたあの夢は
甘い幻想 確かな現実
目覚めた朝は
とてもとても、甘い現実
そしてそれから、確かな幻想。

つきとわたし [2005.06.12-07.04]

 毎晩窓から見えるあの月は、
 いつの頃からか、私のことを見つめていた。

「どうして私を見ているの?」
 ある夜聞いたあのことば。
「それはね――」
 少し笑ったその月は、こっそり私に耳打ちをした。
 それは静かな夜のこと。
 確かに朝が来るはずだった。

 毎晩窓から見ていた月は
 一体いつの頃からか、私にすっかり取り憑いていた。

 「どうして私に憑いてるの?」
 ある夜尋ねたその言葉。
「それは……」
 少しまじめなその月は、そっと私を抱き寄せた。
 それは深い闇の中。
 星が夜空にあるはずだった。

 毎晩隣で見ていた月は
 ホントにいつの頃からか、私だけが眺めていた。

「どうして私しかここに居ないの?」
 ある夜知ったこの言葉。
「あぁそれは」
 にこりと笑ったその月は、やさしく私に囁いた。
 それは見知らぬ夜の中。
 月は世界にあるはずだった。

 私を見ていたあの月に
 あの夜尋ねたあの事は

 私に憑いたその月に
 あの夜尋ねたその事は

 私が見ていたこの月に
 あの夜知ったこの事は

 まじめで優しく笑いながら
 答えてくれたその言葉。

「僕は君の事を、とてもとても好きだからさ」

最強の彼女 [2005.05.25-06.11]

そう。彼女は最強。
とても甘くて とても脆くて
とてもとても 軽やかで

白のパラソル 片手に握り
ふわりと降りる その姿
それはどこかの人形と 見間違うほど美しい

そんな彼女は にこりと笑う
とても甘くて 上品で
とてもとても 脆い笑顔

だから彼女は 夜の帳で一人舞う
白いスカート翻し
ふわり かたり と 軽く舞う
舞って討つは 誰とも知れぬ 夜の闇

甘い笑顔で にこりと笑う
そんな彼女は
とても甘く 芳しい
史上最強の砂糖菓子。