トップに少しずつ書いている文章です。
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その名は神話の中に見え [2004.10.25-10.28]

狂った夢のその奥に
眠り続ける真白な希望

それはさながらイニシエの
昔語りの箱のよう

くるってくるって狂いすぎて
戻れなくなった箱の中身

その中で唯一つ
眠り続ける小さな希望

謎のはなし [2004.10.20-10.24]

謎なんてものはないよ

だってそれは 人為的なものだから
誰かが作らなきゃ生まれない。

作った人は全て分かっているのだから
謎なんてもの、無いのさ。

子守唄 [2004.10.16-10.19]

ねむれ。ねむれ。
わたしのぼうや。

いいこだから、なかないで。
どうか、この歌で泣き止んで。

ねむれ。ねむれ。
わたしのぼうや。

そのなくこえを止めないと
今度は私がくるってしまうわ。

鏡の中と外の世界 [2004.10.11-10.15]

鏡の中の「わたし」は
「私」とおなじ事をする

みんなそれは「自分」だと
口をそろえて言うけれど

でも、私はそう思わない

だって
右と左が逆だもの
鏡の中の「わたし」は「私」とは全然違う子よ」

お楽しみ。 [2004.10.08-10.10]

今日届く何か。

何が来るかは
届いてからのお楽しみ

何があるかは
開けてからのお楽しみ

空のイロ [2004.10.05-10.07]

それはまるでメープルシロップ
空によく似たその色は
空を明日へ染めていく
染まり染められその色は
蝕み続ける せきしょくの色

主人公 [2004.09.24-10.04]

私を作った物語
なんだかもう、飽きちゃった

だからそっと抜け出して
楽しい世界へ遊びに行こう。

忍び足で出かけた先は
何も見えない満月の下。

優しく輝くその月明かり
とがめるように降り注ぐ

いけないことよ、と止める声は
一体誰のものかしら?

影も見えない月明かりの下
楽しい世界へ出かけよう

縫いとめられた影はそのまま
誰かにあげる。いらないわ。

私はわたし。
理由はそれだけ。

私を作った物語
そんなのただの付属品。

でも

その物語が他人のものになったなら
私は一体どうなるのかしら?

私は私で居られるの?

箱の オクソコ [2004.09.21-09.23]

小さな小さな箱の中には
さらに小さな箱一つ。

箱の中の一番最後は
四角い紙がただいちまい。

紙に書かれた その言葉
妖す言葉の羅列のようで……

異形の物との出会いには [2004.09.19-20]

背中合わせの道祖神は
異なる場所との境界線。

黄昏時に見かけたら
歪に注意 闇に注意

私は、あなた。 [2004.09.08-09.18]

闇が侵食(しはい)する楼閣で 眠る少女の見る夢は
赤く濁った培養液の 中に浮かんだヒトガタのもの
長い黒髪 伏せた瞳 白磁の肌は濃き紅
あれは私によく似てる

あれは誰?
あれを眺めるこの視線は 一体誰のものかしら?

楼閣の奥 義太夫は唄う
「あれはわたし、そしてあなた」
召し変えの着物は艶やかに
今宵も一晩 琴を爪弾き 静かに呟く
「あれはあなた、そしてわたし」
静かに笑う
「わたし」も「あなた」もただの人形(コピー)

赤く濁った液の中 少女の目覚めは近づいて
そっと開く長いまつげ 滴り落ちる赤い液体
それはまるで血を浴びた人形のような………

そして少女が見つけるものは
赤く濁った培養液の 中に浮かんだヒトガタのもの
長い黒髪 伏せた瞳 白磁の肌は濃き紅
あれは私に よく、似てる――